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宇江木リカルド作品集
     詩集「反転の幻想」  (最終更新日 : 2003/05/23)
昏い雨の日曜日に

昏い雨の日曜日に (2003/05/22) あぁぁぁ厭になるなあ と
だらしなく寝転んで思う
いま雨のなかへ出ていったら
俺は虚像の白雪璟になって
溶けてくずれて精液のようになり
流されて消滅してしまうように思う

朝の昏いうちから降りつづいている雨が
生活とか倦怠とか期待とか落胆とか
政治とか社会とか思想とか哲学とか
体制とか民衆とか エトセトラ
なんだか安っぽくて
そこらにごろごろしている単語を
拾い集めて俺を脅迫する

あぁぁぁ厭になるなあ と
気持ちよく足を伸ばして思う
俺は虚心に金平糖になって
心を刺々しくさせても所詮は甘い砂糖菓子
溶けてくずれて精液のようになり
べたべたとそこいらを汚すだけ

日曜日がすぎて次の日曜日になっても
虚栄とか虚脱とか虚無とか虚勢とか
虚偽ではなくても虚飾でしかない虚根を
虚妄のねじり飴にして
ありったけ並べて女たちを欺いて

あぁぁぁ厭になるなあ と
欝勃としながらも奮い起こした
俺の性への執着は
いや違った 生への執着は
かけたかすかな思いが折れて
どこを割っても黒々とした死神の嘲笑う顏

白々しい苦悶のなかで
降りつづく雨の音を聞いていると
気持ちはますますカステラのようにかすかすになり
雨の音や雫に涙をごまかしても
遠い日の悔恨が追いすがり異常接近して
俺に進路を誤らせてしまった

こんな雨の日は不吉なことばかり懐いだすから
あぁぁぁ厭になるなあ
厭になる
厭に


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