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宇江木リカルド作品集
     詩集「吼えろ! 雄鶏」  (最終更新日 : 2003/05/23)
俺の詩は血へど

俺の詩は血へど (2003/05/23) 詩が少女のやわらかい心を惑わせ
脆い涙を誘い
夢心地の傷心で浮游させ
欺瞞する催眠術であり
魔術師の呪文であった時代は
もう過去のこと

老境に足つっこんだ男が
少女趣味な抒情詩なんぞ書いているのは
思っただけでも産毛が逆立つ
近ごろの女の子は
そんな甘っちょろい詩で
靡いたりしないぜ

俺は血みどろの詩を塗りたくり
血へどの詩を吐き散らし
暗やみをのたうち回り
腐りかけている腸を掻き出して
血糊に汚れた手で叩きつける
そんな詩を命尽きるまで
うたいつづける

サイエンスだ
ハイ・テクだ
サイバー・スペースだ
近未来だと
黄色い嘴並べ立てて
最先端を飛んでるつもりでも
しょせんは恐怖心の裏返し
視えない敵に怯えて
指先だけで殺戮を企てているにすぎない

地球上に
カルチャーなんぞというものがあったのか
歴史が証明しているのは
野蛮な首狩り族の血のあとだけ
そんな人間世界で
抒情の詩をひらひらさせて
女の子と乳繰り合うのは
蒼褪めた馬のペニスをもった似而非詩人

俺だったら
めちゃくちゃにひっぱたいて
強姦したあと
ガラスの破片よりも鋭い
尖った言葉の欠片を吐き捨てて
まっ赤な血泥で汚れた雄叫び掻き立てて
高らかに征服者の詩を喚く

血みどろの詩こそ
汚い人間たちの
歴史を語るのにふさわしい
俺は惟う
野垂れ死にする日まで
血へどのなかを這いずり回り
呪われた詩を書きつづけようと


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