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宇江木リカルド作品集
     詩集「吼えろ! 雄鶏」  (最終更新日 : 2003/05/23)
祝 寳算最長壽俸詞

祝 寳算最長壽俸詞 (2003/05/23) あの日の雲はひかり輝き
金鵄をかざして天下る
あなたの先祖を寿いだ

あなたは金箔で飾った軍服脱ぎ捨てて
万世一系が重ねた悪業といっしょに
倉に押し込んで
袖の短い平服を着て
声音も弱く
「朕は神ではありません
 人間でした」と
猫背をいっそう折り曲げて
帽子ふりふり
嘘もふりまき
瓦礫の原を歩いたっけ

オウ! ノウ・プリーズ
仲良くしましょうという鉄面皮の
ちょび鬚撫でて 胸撫で下ろし
わけのわからぬ象徴とかに治まって
またもや神の座に鎮座まします

南洋諸島の酷熱の
湿地帯に身を沈めて
あなたのために果てた若者
燃える硫黄の焦熱地獄で
バケツの水を投げながら
あなたのために死んだ市民
冷酷無残な科学者が
地球の破壊を考えながら
その頭脳から発した凍りついた閃光のなかに
消滅していったヒロシマの人々

あなたが光り輝く雲の上で
金箔に飾られた軍服を着て
大元帥陛下のちょび鬚を噛み
白馬に跨がっていてこそ
徴馬より廉い命も惜しくなく
祭壇から下賜される金鵄勲章にも
値打ちがあったのに

あの日あなたが武勲の誉れ
腹掻き切って自刃していてくれたなら
鴻毛よりも軽かった人の命も浮かばれただろう
ああ なにをかいわん
恨みは尽きぬ怨霊は
いまなお地上をうろついて
呻き苦しむ声ぞ聴こゆる
地球が滅ぶその日まで
成仏かなうはずもなく

あなたひとりはぬくぬくと
象徴とやらに治まって
老後こよなくお楽しみとは
誠に結構な大団円
慶祝至極と申し上げ奉り候


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