マラニョンの旅Ⅰ 寂れた歴史地区 (2011/06/16)
飛行機をでるとムシムシとする熱気に包まれた。さすが熱帯である。サンルイスの町はこれで2度目。この町に漂う、ちょっとブラジル離れしたモアーンとした雰囲気と、レゲエ的な、まあゆっくり行こうぜ、的な感じがすきであった。 この町はレゲエの町とも言われ、ブラジルで唯一レゲエが根付いた町でもある。レゲエがこの町に入ってきた経緯には2つの説があり、ジャマイカの船乗りがサンルイスの娼婦たちに、お金の換わりにレコードを渡し、それが広まっていったという説、もうひとつはジャマイカのレゲエ放送をラジオで聞くことができたことから広まった、という説がある。町にはいくつものレゲエグループやレゲエ専門にかかるダンステリアもある。歴史的にも、ちょっと他の町とは異なり、フランスの植民地とされていた時期もあった。そんなせいかわからないがサンルイスは、他のブラジルの町とは異なる独特のなんともいえない雰囲気が漂っていた。 1997年にサン・ルイス歴史地区がUNESCO世界遺産として登録された。5年前にきたときは、古い家を改造して、レストランやみやげ物屋が歴史の街に軒を並べていた。今回きて驚いた。町がすさんでレストランやみやげ物屋の数がめっきり減っているのである。石畳の道は雨で至るところに大きな穴ができていた。いったいどうしたのだろう。聞いて見ると「州政府が何もしないんだ。町は寂れていく一方だよ」と案内してくれる旅行社の人間はいう。 どちらかというと生活感溢れる今の雰囲気が好きだ。以前のサルバドールの歴史の町、ペロリーニョは危険な香りのする町であったが、今ではすっかりきれいになり歩いていても面白くない。 ぼんやりと街灯で灯された歴史の街を独り歩いていると、なんとも言ない郷愁を覚える。父母もなくなり、日本の故郷に帰る場所もなくなった寂しさが身にしみた。
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