夜話その19 せちがらい夜の世界 (2009/09/22)
「今日はあ、後で友達とバラーダ(ディスコ)行くのよ」 「へえー」 リズム音痴の僕は、ディスコが大の苦手で、格好良く踊ることもできず同伴した女性を他の男に独占されるという苦い経験があった。今思い出しても腹立たしい! 客がほとんどいないナイトクラブのカウンターでチビチビとビールを舐めるように飲んでいると、暇をもてあましたポッチャリ系のドイツ系? 女性が話しかけてきたのだ。 「君くらい綺麗だったら、やっぱりナンパされることがよくあるでしょう」 彼女はうれしそうにニコニコ笑いながら「そうね、よくナンパされるわね」 「で、やっぱり会ったその日にやっちゃうわけ?」 「そんなの、やるわけないでしょう。タダなんてやんないわ!」 「えっ! お金とるの」 10数年前は夜の女性でも気に入った男性がいたら、ただでやらせてくれたものだが、今のご時勢はそんなに甘くないらしい。やはり、こういう商売をしていると、女性の頭の中には、セックス=お金という方程式がしっかり成り立っている。それをくつがえすのは、よっぽど男がボニート(ハンサム)か、女性が酔っ払っているか、発情している時しか難しいようだ。 別の女性にも聞いたが、同じような答え。ちょっと寂しいような悲しいような・・・・・・。彼女らにとって、お金の介在しないセックスなんて考えられなくなっているのだ。 「じゃあー、好きな男ができてもお金を取ってセックスするの?」 「もちろん、そんなことはしないわ。でも、今はそんな男いないし。たぶん夜の仕事を続けている限り、男なんて作らないと思うわ。ここで働いていれば、セックスに不自由しないしね!」 彼女らにとってセックスは大事な商売道具なのである。当然といえば当然であるがなんともせちがらい夜の世界になったものである。
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