一、 | 過ぎ越し跡を回顧せば 三十余年のその昔 移り来たれる植民地 見渡す限り草の原 |
二、 | 導きくれる友もなく 子供も幼きあの時代 野菜の数は作れども 空しく安価をなげくのみ |
三、 | 苦心重ねて経験を かち得し時は如何にせん 用意の資金も尽き果てて 土地代拂うに四苦八苦
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四、 | 実情聞きし土地会社 情に厚き支配人 時期来る迄と度度の 支拂い延期の有難さ |
五、 | 幼揺年時代はこの頃よ 見込みなしとて他の土地へ 出で行く友の誰彼に 共にと動く我がこころ |
六、 | いづこに行きしも同じこと 今までなれしこの土地で なお一作と幾度かの 努力重ねし年久し |
七、 | 苺、養鶏次いで果樹 村中協力ともどもに 品種改良実を結び 桃の里とて名も高し |
八、 | 開拓時代はゆめと過ぎ あとより入植せし人は 知るや我等のこの苦労 昔語りとなりにけり |
九、 | 長の年月待望の 電気電話も敷設され 地価は高まり村栄え 今ではイタケーラ文化村 |
十、 | 草分時代の友寄りて 過ぎにし苦難に老いし身を 忘るる話の数々に 若やぎ心地むね豊か |