10月5日(日)の記 ドキュメンタリーの「演出」 (2025/10/10)
ドキュメンタリの「演出」 ブラジルにて
アカ族の儀礼や農作業、日常生活を記録するのは基本だが、それだけでは民放のプライムタイムのテレビ番組にはならない。その民族らしい、人生の喜びや悲しみ、価値観などが表出されるドラマチックな瞬間に立ち会いたいといつも願っていた。ドラマ制作ではないので、そういうシーンを人為的に作ることはできないが、そういう瞬間がたち現れるかもしれない出来事を予測して、カメラがそこにいるようにするのがドキュメンタリーの「演出」なのだと思う。 (市岡康子著『アジア太平洋の民族を撮る 「すばらしい世界旅行」のフィールドワーク』弘文堂)
大先輩の市岡康子さんの大著をようやく読了。 先回、日本から戻って以降、本らしい本を読めない事情が続き。 いっぽうこの本は封印していたトラウマがうずいたり、余韻が強すぎてなかなかホイホイとは読み進めることができなかった。
これは僕にとってはいまさらながら必読の基本であり、バイブルでもあった。
市岡康子さん、牛山純一代表、そして「すばらしい世界旅行」。 つくづくすごい人たちと、すごい番組に関わっていたものだ。
この本で市岡さんはご自身の失敗体験、そして取材と番組の反省点も正直に書かれている。 先達の失敗や反省にこそ学ぶ点が多い、と改めて思う。
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