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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
12・8 使命

12・8 使命 (2008/12/09)  精神的辛いことにも大分耐えれるようになった感じがする。以前は、そういうことがあると一晩眠れないこともざらで、食欲もなくなり簡単に体重がへった。良く言えばナイーブ、繊細、であるが、言い方をかえれば神経質なだけなのである。できるだけ、こんな点は人に見せないようにしているつもりであるが、いつもあっさり見破られてしまうところが情けない。
 それが最近は、少々のことがあっても、全く眠れないということもなくなったし、食べれないということもなくなった。とは言いつつも、やはりそんなときは寝つきは悪いし、朝早く目がさめ、食欲は減りやっぱり痩せてしまうが、前ほどひどくはないような気がする。
 今年1年は、本当によく悩んだから、少しは悩まないコツを学んだのかもしれない。飯田史彦氏の著書を読んで随分と考えさせられることがあり、物事に対する考え方が変わったと思う。この人の著書とは節目節目でいつも出会っているような気がする。最近、友人に借りて読む前にも、7年ほど前にも偶然に知人から、彼の論文のコピーをもらい、このときも少なからずの影響を受けた。
 彼の書いている世界が本当に実在するかどうかは、僕にはわからないが、自分が生きる意味を常に模索している僕にとっては、ひとつの糸口を見つけることができたような気がする。僕の使命は? いつも自問自答しているのだが、なんだかんだ言って、約15年にわたって写真を撮り、雑文を書き続けてきたということは、自分の写真、文章をできるだけ多くの人々に見てもらうことではないか、ということに行き着いた。それは売れる売れないは関係なしにである。
 残念なことにもう亡くなってしまったが、宇江木リカルド氏( http://www.100nen.com.br/ja/ueki/ )という小説家がいた。氏の作品は、ほとんど表に出ることがなかったが、氏は死ぬまで小説を書き続け、それを自分で製本し多くの人に渡されていた。僕は一度だけお会いしたことがあり、「1日中書いているのですか! よくそんなに書けますね」とお聞きすると「宇宙から流れてくるように、コンコンと文章が頭の中に湧いてくるのですよ」とおっしゃた。このときは、どうして氏が全エネルギーを投げ打って売れない小説を書き続けるのかよくわからなかった。が、今、やっと解った。小説を書き、たとえ売れなくてもできるだけたくさんの人に見てもらうことが、彼の使命のひとつだったのだ。僕の写真集「MINHA VIDA」を見て、非常に氏は共感してくれた。見たその日はなかなかねつけれなかったとまで言ってくれたことが僕にとって誇りのひとつである。
 もちろん、できれば写真も文章も表に出て有名になって、余裕のある生活を送りたいが、たとえそうならなくても一生この仕事を続け、一人でも多くの人に喜んでもらえればと思っている。なぜなら、それが僕の使命のひとつだから。


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