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     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
9・10 移民・難民の流入

9・10 移民・難民の流入 (2015/09/09)  メルカードの鳥肉専門店に行くと、肌の真っ黒い黒人が働いていた。一言、二言でもいいから、アフリカ人にブラジルの生活はどうか、聞いてみたかった。運の良いことに、彼の方から「何にしますか?」と聞いてきた。わずかにたどたどしさはあるが、きちんとした発音だ。もしかしたら僕の日本語なまりのポ語よりずっと聞きやすいかもしれない。
 手羽の部分を1キロたのんだ後、聞いてみた。
「どこの出身ですか?」初めはアフリカ人ですか、と聞こうかと思ったが、僕自身ブラジル人に、中国人か?韓国人か? と聞かれ頭に来ることがしばしばあったので、それを意識して出身を聞いたのだ。
「アフリカだよ」本当はどこの国かを聞きたかったのだが、今まで遭ったアフリカ人はあまり根掘り葉掘り聞かれると嫌がるのでそれ以上聞くのは止めた。
「ポ語がうまいね~」というと、お金の支払所にいたおばさんが彼をみながら「彼は上手にしゃべるのよ」と言って彼を誉めた。その彼を見る視線は、温かさがこもっていた。アフリカ人ははにかみながら微笑んだ。
「ブラジルはどう?」
「アフリカにいるよりずっといいよ」そっけなくそう言った。彼は、会話が途切れると途端に元の硬い表情に戻った。横にいた2人のブラジル人のおじさんが、僕と会話している様子をなんとなく疎ましげにみている。もしかしたら、それを気にしているのかもしれない。すぐに他のお客の応対をし始めた。その姿には懸命さが感じられた。
 もうそれ以上はとても話しかける間はなかったので、お金をはらって鶏を受け取りその場を離れるしかなかった。もう少しいろいろ聞いてみたかったので残念だった。
 それでも、最初から心を開いてもらえるとは思っていなかったので、会話ができただけでも満足ではあった。
 最近、難民を排斥しようとする男達が、ハイチ人を襲う事件が相次でいる。TVのレポーターに、ハイチ人の男がまくし立てた。
「俺たちの血もブラジル人の血も同じ赤い血が流れている同じ人間だ! なぜこんなひどいことをするのだ!」
 失業者が増えるにつれますます、こうした排斥行動は行われるようになるだろう。今はハイチ人だけだが、そのうちアフリカ人やシリア人などにも及ぶと思う。その時、難民や移民がだまっているとは思えない。ブラジル人と難民・移民が衝突するようなことだけ回避してもらいたい。しかし、これほど国内が不景気で失業者が増えているにもかかわらず、大統領は移民難民をさらに受け入れるような発言をしている。今後、税金をさらに上げるようなことを財務大臣が言い始めている。なんとなく政府は国民のストレスのはけ口を難民移民に向けるために、どんどん入れているような気がする。

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