また、携帯に電話がかかってきた。番号を見ると982868006。朝から4度目の電話である。無視しようかとおもったが、しばらくたって気が変わった。こんな気まぐれな自分に自分でもあきれる。く言えば「きまぐれ」だが、「柔不断」ともいえる。 　出ると、周囲のざわめきが聞こえ、「ＴＩＭ（電話会社）だが、アキノリ？　あなたに重要なことがある」という。さらに「この電話は録音されています」とおなじみの言葉が続く。しかし、この面倒くさそうな言い方は・・・。ちょっと気にかかる。さらに続けようとする女性に、「で、何がいいたいの？　何？」と機嫌悪そうに聞くと「あんたは、聞きたいの？」とかっとしたように言う。こういう言い方をする、電話会社の人間は初めてである。言い方もふてぶてしい。「もう。話したくない、といっただろう！」　しばらく相手は沈黙。声も聞きたくないし、話したくもないので、切った。 　しばらくしてあの電話が本当のＴＩＭからだったら、いじわるをされて情報の変更をされるかもしれない、とちょっと心配になった。というのは、このＴＩＭの電話番号は買い物や契約での必要な情報記入にほとんど使っていないからだ。僕の携帯は２つのチップが使えるようになっていて、ＴＩＭとＶＩＶＯ使える。 ブラジルでは、アンケートや契約、買い物などで電話番号などを記入すると、その情報はまず90％他に流れると思った方が良い。会社内部の人間に客の情報を売る奴がいるのだ。顧客の情報が入ったＤＶＤが普通に販売されている。だから、僕の名前で電話がかかってきても、決して信用できない。人をだまして金をとる、今のブラジルにはそんな人間で溢れている。騙される方が悪いと思っているのであろう。人を傷つけたり殺害したりするわけでないから、悪い事をしている、という罪悪感はまったくないだろう。 オレオレ詐欺はあるし（日本からながれてきたのかもしれない？）、カード詐欺はあるし、メール、電話、・・・、詐欺だらけである。詐欺師たちは、手に入れた個人情報の中から、老人、外国人に狙いを定めて電話やメールを送ってくる、と聞いたことがある。僕も危なくクレジットカードを詐欺師に盗られかけた。危機一髪で避けることができたが、それ以来、電話に出るのが嫌になった。出ても、つい、機嫌の悪い声をだしてしまう。 友人がおかしな電話はネットで調べることができる、ということを思い出した。「982868006」を検索すると、数サイトにヒットした。その一つを見ると、僕と同様に1日何度も電話を受けた、というコメントがならんでいた。これは電話会社というコメントが1個あったが、その他は詐欺だというコメントばかりであった。おそらく詐欺電話だったのだろう。ほとんど何も聞かずに切ってよかった。

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