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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2008年の日記  (最終更新日 : 2009/01/10)
10月の日記・総集編 平易さから生まれる美こそ

10月の日記・総集編 平易さから生まれる美こそ (2008/11/01) 10/1(水)記 さっそくゲンコ

ブラジルにて
今朝からソロソロと運転再開。
街に出ると、こちらはこちらでアゼンとすることが少なくない。

もはや締め切り状態の原稿をひたすら叩く。
「ラティーナ」用に、佐々木神父のこと。
字数が多いので、なかなか。
この連載も余すところわずかとなった。


10/2(木)記 しかられて

ブラジルにて
ふたたび「あもれいら」Ⅱ編集体制のラインをつなぐ。

早めに会っておきたい人ふたり、それぞれ昼、夜とリベルダーデで会うことに。
夜の人から2軒目のお誘いを受けた。
知る人ぞ知るコロニア遺産クラスのカラオケ居酒屋。
ママさんがとっても人がいい。

ここは扉にチェーンがかかっている。
新客が来ると、中から確認して開けることになる。
じわじわと客が入り、若者の部類に入る人も複数。
しかし、さらに新客が来ても誰も扉のところまで席を立つ人がいない。

何度かフショウ岡村が扉を開けさせていただく。
さらに新客が。
日系人の男。
「この人、開けてもいいですか?」
とママさんに確認をする。
それを聞きつけたその男に、
「コノヒトはなんだ!」
と怒られてしまう。

昨今も犯罪被害にあったと邦字紙に報道もされている店である。
もし僕がこの店の強盗プランを考えるのなら、日系人を使って店側を安心して扉を開けさせ、ホールドアップを命じるだろう。
そのあたりも考慮して、ママさんに確認したのだが。
店の常連客の顔も知らずに、しゃしゃり出て扉を開けようとしたこちらの不徳のいたすところか。
こっちも客なんだが。
自分が場違いと感じ、自分の飲み分だけ精算して失礼する。

こちとらしょせんカワラコジキ。
こうした偉いらしい人たちのお楽しみになる場はなるべく避けて、拙作を心待ちにしてくれている人たちを想って作品制作に精進しよう。


10/3(金)記 平易さから生まれる美こそ

ブラジルにて
早朝と夕方の送迎の合間に、「あもれいら」Ⅱの編集作業。
日本各地でゲットしてきた書籍や資料類を折に触れて紐解く。

一般の作家達は、異常な品を狙って、綱渡りのような危なげな仕事をする。しかるに美が平易さから来ること、また平易さから生まれる美こそ、一番素直で健全だということを、濱田はその作品で身をもって示そうとしている。
『濱田庄司の仕事』柳宗悦著「濱田庄司・陶芸の世界」1993年 那覇市発行より


那覇の上映会場の下で購入したカタログに収録されていた文。
「あもれいら」制作の糧とさせてもらう。


10/4(土)記 「移り行く姿」から

ブラジルにて
那覇の桜坂劇場で買った雑誌「プリンツ21」の『高畠華宵』特集を開く。
ちなみに桜坂劇場に並べられている書籍・グッズは実に趣味がよろしい。
相当の目利きのなせる技とみた。

高畠華宵は大正・昭和と時代の寵児となった少女画の巨匠。
冒頭の折込みカラーグラビアに目を奪われる。
華宵が津村順天堂の初代社長の依頼に応じて1年がかりで描いたという「移り行く姿」(1935年作)。
総勢60人の、明治・大正・昭和のファッションに身を包んだ女性たちが四季折々を背景に描きこまれている。
なかにはチマチョゴリ、チャイナドレス、もんぺ姿の農家の女性も描かれているのだ。
欲を言えば沖縄、アイヌ、台湾の少数民族の女性も見たかった。

美を感じる対象に、差別や蔑視は生まれがたい。
言い換えれば、美を覚える人の感性こそが、無知の所産である差別や蔑視に拮抗し、克服できる力に成りうるのでは。

しかし大日本帝国はその後、昭和天皇の名のもとにアジアの人々1千数百万人を殺戮するという人類史上の禍根を残してしまった。
美は武の前に力たりえるのか。
いま、華宵ブームから学びうるものは何か。


10/5(日)記 免税本から

ブラジルにて
あれから一週間。
成田空港で時間があったので、階上の書店を見る。
思えば今回の訪日は多忙を極め、家族に頼まれたマンガ本を探し回ったことはあっても、自分用の本を散策するという時間がなかった。

何冊か手に取るが、出国審査後の売店なら免税となるのを思い出す。
これ以上、祖国に税金を取られるのも。
5パーセント引きなら、大学生協書籍部なみか。
同じ本があるかわからんが、免税に賭ける。

そんな経緯で購入した「ドバイの砂漠から」銀色夏生著、角川文庫。
ドバイはエミレーツ航空が日本とブラジルを結ぶ便を飛ばしている都市で、気になっていた。
そういえば、ドバイのある国の正式国名は、なんといったっけ?
……
それが、国名そのものがまるで出てこない。
オレの読み方が荒いのか?

例えば非日本人が、京都や東京あたりの都市の滞在記を書いたとする。
そのなかに、まるで「日本」という国名が出てこないのは、どんなものだろう。
これは作家というより、編集者の問題だろう。
本文と鮮やかなコントラストをなす、「角川文庫発刊に際して」まで読んでしまう。

いずれにせよ、ドバイにストップオーバーをするとエラい金がかかりそうなことがわかった。


10/6(月)記 脳の外

ブラジルにて
断食。
編集。
こっちのPCに「お気に入り」にしてある「大紀元」のサイトをのぞく。
期待を裏切らない妖しい記事が。
「記憶は、脳の外に存在する?」
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/09/html/d47622.html
占いを掲載している一般紙より、よほど科学的というもの。

心霊現象は、コンピューターの普及によって一般化しつつある知見をモデルにすると、わかりやすいこともあると感じていた。
拙作「ブラジルの心霊画家」あたりもこの理論を用いると、うなずける部分も。


10/7(火)記 誠意大将軍

ブラジルにて
日本の英語雑誌の編集者の方から、ご連絡をいただく。
今年だけでも日本でいろいろな取材を受け、思い出したくもない記者・編集者もチラホラ。
この人は、真逆。
誠意あふれる人で、ジャーナリズム、物書きにとっての希望を見る思い。

さる雑誌の書いていただいたものを転載されたものがアップされたことのご報告。
オンライン上で「立ち読み」できるので、ご参考までに以下、コピーさせていただいた。

「日本ブラジル交流年」を掲載しました電子マガジン「Highlighting Japan」が
できあがりましたので、お知らせいたします。
(9月号となっていますが、アップされたばかりです)

最新号は、以下のURLからご覧になれます。
http://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/arti20080901.html

記事は、P.20-23 CULTURE「Japan-Brazil Year of Exchange」です。

上記URLを開いていただき、丸い「Read」の印をクリックすると、本誌扉がでてきます。
左縁にある半透明のタブの「Text Index」をクリックし、
下から5番目の「CULTURE」をクリックすると「日伯交流年」の掲載ページとなり、
さらに、画面の右側付近で一回クリックしますとページがめくられ掲載ページがでてきます。



10/8(水)記 スーパーの男ふたたび

ブラジルにて
できる時に作業を進めておかないと。

3歳児クラスの少女のさりげない、ひと言。
それの翻訳で、のた打ち回る。
ちょっと思い切った意訳を施してみるが…

ネイティブの妻にも娘にも賛同を得られず。
ふたたび、のた打ち回り…

さりげない字幕テロップに響いてくれる、あなたがいるからこそ。


10/9(木)記 集団劇

ブラジルにて
「あもれいら」シリーズは、その他大勢も含めると登場人物100人以上という集団劇である。
少年がひとり行方不明になったというシーンの字幕付け作業。
タイミング調整のため、何度もポーズをかける。
すると、先生たちと親たちがぎゃーぎゃー言い合っているなかでの、それを見ている子供数名の不安そうな表情がうかがえる。
ノーマルスピードでは、見逃していた。

ご覧いただいた方々に、いろいろ発見していただくのが楽しみだ。


10/10(金)記 ヒザがたがた

ブラジルにて
午前中は、編集。
昼から、久々に中距離運転。
橋本先生のお連れ合いにお悔やみ。
さらに日系コロニア孤高の作家・松井さんを訪問。
今日の車内の時間は4時間弱ぐらい。
久々ということと渋滞が多かったので、帰宅すると両膝ががたがた。

橋本先生がご存命の頃は毎週のようにこれをしていた。

夜は新作料理を作るつもりだったが、パスさせてもらう。
どちらかというと心地よい疲労だが、それにしても疲れた。


10/11(土)記 下田無残

ブラジルにて
日本の友人によると、「レンタル落ち」というそうな。
先の訪日時、横浜上映に行く時だったか。
駅ビル構内の出店で、ブラジルの家にない「ウルトラセブン」のVHSを2本購入。
先週の土曜に引き続き、息子と残りの1本を鑑賞。
シオマネキ型の自動車いただきロボット・クレージーゴーンが笑えた(ほほえましかった)ぐらい。

先週、みたアイアンロックスはプロットが衝撃的だった。
戦艦大和がよみがえり、下田を砲撃する。
オアフ島でもサンフランシスコでも沖縄でもなくて、ペリー来航の下田を!
大和が黒船や沖縄の米軍基地を砲撃するなら、ある意味で筋も通るかもしれない。
しかも、あくまでも宇宙人が海に眠る「鉄屑」を再利用したというエコロジカルな設定。
くれくらしてしまう。

「ウルトラセブン」という制約から、企画者の野心はかすかに光るにとどまった観あり。
「ウルトラQ」で観たかった。


10/12(日)記 魚を買う男

ブラジルにて
先週の日曜は市長・市議選のため、路上市が立たなかった。
という訳で、今日がブラジルに戻って初めての路上市買出しとなる。

狙いはサカナ。
ブリを勧められるが、値段はいいがイマイチの感。
次いでアジを勧められる。
食指が動くが、アジに次いで勧められたシマガツオとする。

今回、日本は本場高知でカツオのタタキをご馳走になった。
地元では近年、醤油ではなしに、シオでいただくのがブームとか。
シオでいただき、なるほどと思いつつ、醤油系でもいただきたいな、と思った。

こっちの我が家で高知の日曜市で買ったゆず塩とさしみ醤油、それぞれを試してみるが、醤油に軍配をあげる。

昨年、サンパウロ近郊で上映会をした時。
高知出身の人が、カツオのタタキと特製のタレを差し入れしてくれたっけ。
あれもうまかった。


10/13(月)記 忙中閑あり

ブラジルにて
日本の知人が、親戚筋に当たるという在サンパウロの面白そうな人を紹介してくれる。
今の仕事の目鼻がついたら、コンタクトさせていただこうかと。

日本から来た畏友の依頼で、車を出す。
こちらも得るところ、多し。

さあ、人任せにできない。
自分にできることをやってみよう。
これが人生。


10/14(火)記 忙中カンカン

ブラジルにて
家事と「あもれいら」Ⅱの仕上げ作業。
合い間に、これを始めることとする。
http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000182/index2.cfm

自分が何かをしないと。


10/15(水)記 夢のアフリカ

ブラジルにて
アフリカはマダカスカルに滞在するという邦人からメールをいただく。
拙サイトの拙作コメント欄に掲載されている人がかつての知人なので、メールを転送して欲しいというご依頼だった。

ネット上ではぐじょぐじょにハンドルネームが跋扈しているが、本名を載せておくと、こんな面白いつながりもあるようだ。

マダカスカルといえば、橋本梧郎先生が「最後に」行ってみたい、とおっしゃっていたところ。
ご存命なら、今回いただいたメールの件も興味津々に聞いていただけたことだろう。


10/16(木)記 ヒマラヤの塩

ブラジルにて
奮発して牛の上肉を買う。
鉄板焼きにしようと。
高知の日曜市で買った「ゆず塩」を使ってみよう。

日本でちょうだいした岩塩もある。
ピンク色をして、おろし金付き。
ヒマラヤのもので、パキスタンが原産国とある。
たいへんなフードマイレージだ。
息子におろしてもらう。
味のほどは…なんともファインな感じ。


ゆず塩のあとに、ピンク岩塩。
ミナス産カシャッサにライムを絞り込んでいただいていたので、指先でお味が混乱、ファインどころじゃなくなる。

ボリビアのウユニ塩原を想う。
あそこの岩塩で、南米産の食材をいただきたいものだ。


10/17(金)記 冒涜

ブラジルにて
ネット上で、こんなニュースを知る。
「人気ミステリ作家が徹底検証!『イキガミ』盗作騒動の罪」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=639362&media_id=53

このなかから、ミステリ作家、藤岡真氏の言を引用させていただく。

「『イキガミ』に著作権侵害が成立するかといえば、これはしないだろうと思います。物語のアイデアや設定は、基本的に著作権で保護されるものではないからです。ただ、こうした態度は星新一が残した素晴らしい小説を冒涜していると思うし、またオリジナルを超えるものを描く自信がなければ、同じような設定を使うべきじゃないと考えます」


10/18(土)記 KIHACHI NO BRASIL

ブラジルにて
サンパウロ国際映画祭が始まった。
自分の作品のまとめの追い込みのため、横目でプログラムを見るぐらいにしておく。
今年の驚きの企画は、岡本喜八回顧上映。
14作品が上映される。
タランチーノやジャーミッシュも我らが岡本喜八監督からの影響を謳っているとのこと。
日本から来た友人に「岡本喜八をフィルムでこれだけ観れる機会はもうないかも」と言われるが、背に腹は代えられず。
行くつもりはないが、アクセスのよくないところでの上映、人の入りを心配してしまう。

できれば、イタリアの監督が撮ったブラジルのインディオと大農場主の闘争の劇映画を観たいが。
編集の他にもいろいろあって、なかなか。


10/19(月)記 「富士は日本一の…」

ブラジルにて
今日からサマータイムの始まり。
時計のデジタル表示の数字をピコピコいじって戻すことに。

午前中、手紙を2通したためる。
これといった切手を買いだしに行かないと。
昼から、家族を妻の実家に連れて行った足で、森下さんの老人ホームを訪ねる。
運転途中、眠気が襲ってくる。
しかしホームの近くの町に入ると、交通のあまりの秩序のなさに目が覚める。

日本の方から、森下さんに手渡して、とお預かりした手紙が2通。
部屋が掃除中だったので、車椅子を廊下の端の一角まで押していく。
最初に、日本の地方での上映に来てくれた、僕も旧知の女性のお手紙を開封させていただき、朗読させていただく。
何枚かの一筆箋のお便りの他に、富士山の絵葉書が添えてあった。

手にとった森下さんは「富士は日本一の山」…と言って号泣された。

伊豆大島の富士見観音を取材することになったのも、森下さんがきっかけだった。

帰路、しぜんと「砂の器」の「宿命のテーマ」がよみがえる。

手紙の、重さ。
メール時代に…
手紙以前、ヒトはどうしていたのだろう。


10/20(月)記 ラスワンにフマニタス

ブラジルにて
20日、ということは日本で月刊ラティーナ11月号の発売日。
http://www.latina.co.jp/html/magazine/revFRM.php
岡村が取材を契機にお付き合いを続けるブラジル移民をご紹介する「移民を撮る 移民を書く」の連載も12月号まで。
けっきょく表紙と目次の連載タイトルが統一されないまま、最終回を迎えることになりそうだ。
今回は、フマニタス慈善協会の佐々木治夫神父のことを書かせていただいた。
乞うご期待。

最終回はたっぷりと趣向を変えて、新しい試みをするつもり。
これまたご期待あれ。


10/21(火)記 QUASE

ブラジルにて
日本の制作会社時代。
深夜の編集作業中に編集機にトラブルが発生した時。
編集者が業者を電話で呼び出し、ぎゃーぎゃーやっていたこと、しばしば。

今朝、当家の編集システムに灯をいれようとして。
まずテレビモニターに異常が。
完全にNGとなる。
次いで、編集機本体の出力が機能せず。
マニュアルの「故障かな?」にあるようなナマやさしい事態ではない。

こちらでのメンテは、まず不可能である。
こりゃあ訪日を早めるとか?

…なんとか、マニュアルにもないウラ技が効いて、最悪の事態は免れそう。
いやはや、機械もんですから、こういう事態も想定しておかないと。


10/22(水)記 やな客

ブラジルにて
編集作業もたけなわ。
しかし外回りの用事もいくつかたまり、今日は一気にできる限りまわっちゃおうと。
まずは、昼前に預け物をしてある友人宅を訪ねる。
せいぜいお茶いっぱいをいただいて失礼するつもりが。
ついつい夫妻それぞれと話が弾んでしまい、昼食までゴチになってしまう。
昼食はけっこう、と言いながら居残りそうな奴を見越して食事を準備するのは大変なことだろう。
いやはや、申し訳なし。

その他、失敗ジンニョをいくつかするが、ひと通りの課題は終えて、帰宅。
作業の続き、夕食準備。


10/23(木)記 この期におよんで

ブラジルにて
この期におよんで「あもれいら」Ⅱの編集変えを。
とりあえず1カット足して、1カット差し替える。
テロップががちゃがちゃになるが、再調整。
現場にも編集変えバージョンを持っていけるよう、コピーをし直し。
ひとり仕事だから、それなりにテーヘンだが、こういうことを誰にも嫌がられないでできる。
まだカットをいじるかどうか。
また尺が1分、増えちゃった。


10/24(金)記 現場巡礼

ブラジルにて
夜行バスにて、朝、アモレイラへ。
かつての担任の先生に、気がかりの部分をチェックしてもらう。
映像記録時代、チベットで仏僧たちと録音テープの翻訳をしたことを思い出す。
今回もいったん作業が終了した後、油断せず、再チェックをしてよかった。
かつてのようにこっちを怒鳴りつける人はいないけど。

夕方よりフマニタスへ。
佐々木神父と、まさしく四方山話。
こちらも蚊取りが入用な時期となった。


10/25(土)記 役者がいっぱい

ブラジルにて
朝、フマニタスからふたたびアモレイラへ。
シスターたちに暫定バージョンを試写していただく。
前半の段階で堂園シスター、
「役者がいっぱいですねえ」。
いかにも。
バトルロイヤルである。
熱い感銘と余韻。

仕上げに向けて、さらに精進します、
とご挨拶して、ふたたび夜行バス。


10/26(日)記 100周年の顔

ブラジルにて
夜行バスで朝帰り。
留守中の日本語新聞を開く。
ニッケイ新聞2008年10月25日号「記者の目」より。
ブラジル日本移民100周年記念式典の未払い金問題。
まさしく100周年記念式典の顔とも言うべきブラジル日本移民100周年協会の理事長にこの問題について取材したところ、
「知らない」「言えません」「他の人に任せてます」「みんな一生懸命やってますから」といった「空虚な言葉が返ってくるばかり」だったとのこと。
同じ御仁がそれに続けて「日本人の美徳として、『倫理、道徳、尊敬』が大事だと思っている。」云々と語ったというから、もうどうしよう?
こうした人物の、後半の部分のみを無批判にメディアに垂れ流すのを、マスゴミというのだろう。


10/27(月)記 中断食

ブラジルにて
さあ、気合を入れ直して作品の仕上げに精進せねば。
とりあえず断食を。
と、隣国からやってきた若い知人から電話。
スケジュールいっぱいだそうで、水曜の夜、何人かで会食ということに。
逆算して、今日の断食は中止。
せいぜい冷蔵庫のスペース作りに精を出すか。


10/28(火)記 改幕

ブラジルにて
自宅で字幕入れ作業まで行なうようになった2作目ということになる。
現場で詰めを行なってきて、ふたたびいじり始める。
ところどころズレが生じて、ノンリニア編集なのだが、極めてアナログ的な手間のかかる対応を強いられる。

ここにきて、テロップ付けの基本的な方針を変えてみる。
ぜんぶ、やり直し。


10/29(水)記 伯剌西爾國別件

ブラジルにて
月曜の断食を中止して備えた今日の集い。
先方の寄宿先の友人から電話があり、彼に重要な会見が入ってしまったとのこと。
ま、せっかくだからと主賓を抜きに彼を寄宿させていた友人と、場末感たっぷりのバールで痛飲。

すると、重要な会見を終えて、これから夜行バスに乗るという主賓が大荷物を担いで現われた。
バスの時間はギリだ。
こちらが、せかす。

約束を守れなかったことに、ひと言お詫びをしたかったという。

船戸与一「蝦夷地別件」(新潮文庫)の世界だ。
亡命ポーランド人の主人公が不慮の事件で約束を守れなかったことを、ただ詫びるだけのために命がけで北海道に渡り、アイヌの長老に会いに行く。

美学の一致。


10/30(木)記 殺人携帯

ブラジルにて
ややこしくなったブラジルの運転免許更新。
いくつかのオプションがある。
長い講座を受ける選択を取る。
3日間、一日4時間以上。

昨日から開始。
なかなか得るところが多い。
昨日、特に印象に残ったのは、
「車は、凶器」。
「携帯電話使用の運転は飲酒運転より危険」。
後者に関しては、これ以上の犠牲者を出す前に罰則強化を望む。
危なくてしょうがない。

そもそも運転中でもアテンドする電話は緊急のケースが多いとみられる。
通話内容に興奮して車内で身振り手振りまで始まり、運転どこじゃないドライバーをしばしば見受ける。
こんなののトバッチリを受けたらたまったものではない。


10/31(金)記 同胞の無念

ブラジルにて
運転免許更新講座の3日目。
今日は、救急対策。
医療品メーカーがスポンサーであるのがミエミエのブラジル産ビデオを見る。
いろいろなケースが紹介されるが、二言目には「専門家に任せましょう」。
大都市サンパウロあたりはともかく、専門家の存在も、連絡を取るのも難しい辺境ではどうするのか。

日本政府のずさんな計画に乗せられて、医療の専門家もへっちゃくれもない南米の辺境に入植させられた同胞の無念に思いを馳せざるをえない。
家族の事故や病に新天地の夢も破れながら、日本の役人に努力が足りない、甘えている、と断罪された人びと。
垣根涼介さんの「ワイルド・ソウル」が支持される所以である。


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