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岡村淳のオフレコ日記
     西暦2010年の日記  (最終更新日 : 2011/01/02)
6月の日記・総集編 「我百年後知己を得む」

6月の日記・総集編 「我百年後知己を得む」 (2010/07/02) 6/1(火)記 「ブラジルで萌える」

ブラジルにて
今日は地下鉄ストの見込みもあったが、中止。
朝、子供たちを送り届けてからアパートに戻る。

門番の郵便受けのところにBumba最新号が届いている。
http://www.bumba.com.br/
昨晩のうちに届けてくれたらしい。

夜、夕食を済ませてから読み始める。
例によって内容が濃い。

巻頭近くの「迷いがいっぱい どう表記する? ポルトガル語in日本語」。
1ページの記事だが、わかりやすく、かつ実に凝縮されている。
これだけでも保存版の価値あり。
混迷を極め続ける日本語でのポルトガル語表記だが、筆者のスタンスがとてもよろしい。
できる人間の記事だ。

明日、編集部に電話をして、誰の記事だか聞いてみよう。
ちなみに今日のタイトルは、ブンバ最新号の特集の見出し。


6/2(水)記 サブウエイ・パニック

ブラジルにて
外の所用を終え、地下鉄リベルダーデ駅で南行きを待つ。
セー駅とリベルダーデ駅の間の列車で事故とのこと。
待つこと、約40分。

別の車両に押され、途中停車していた列車が到着。
1時間近く車内に閉じ込められていた人たちが解放される。
激しい罵声が飛び交う。
「女郎の子!」
「これでストをやるなんてまたぬかしたら、電車をぶち壊すぞ!」

降りてきた乗客によると、車内は非常灯のみで何のアナウンスもないままだったと言う。
「非常の時の対策がまったくなされていないのがよくわかったよ」
「もし火事でも起こったら?」
「全員、丸焼けだね」
こんな会話が。

折りしも選挙を見込んでか、地下鉄新線の開通がマスコミに喧伝されている。
かたや職員のスト宣言。

まず、日常の業務をきちんとこなしてもらいたいもの。


6/3(木)記 暁に西語をのせる。

ブラジルにて
今日は祭日。
子供たちの学校は4連休となる。
朝の送りも、なし。

家族の寝ている間に起き出す。
「フマニタス」スペイン語字幕付け作業は続く。

7月の横浜の特集上映で、これから編集する最新作も披露するとチラシに謳ってしまった。
スペイン語付けが終わったら、さっそくそれに着手しないと。


6/4(金)記 腰痛要注意

ブラジルにて
今日も未明からスペイン語字幕付け作業。

今度の訪日で、腰を痛めてしまった。
重い荷物を抱えての移動の連続がたたったようだ。

ビデオ編集のポジションが悪い、と妻に言われる。
かといってこの住環境では、とりあえずはどうにもならない。

途中、なるべく腰を伸ばし動かすこと。
そもそも動くのもつらいんだが。

スペイン語三昧作業もある程度、先が見えて、ちょっと中だるみ。
明日は思い切って遠出の宿題に手を付けるか。


6/5(土)記 聖市内遠征

ブラジルにて
松井太郎さん( http://www.100nen.com.br/ja/okajun/000182/index2.cfm )のところにうかがう用事あり。
来週にしようと思っていたが・・・
ビデオ編集作業が山積みのため、時間があまり割けない。

平日だと車で順調にいって片道、1時間程度かかる。
思い切って連休中の土曜の今日の午前中にうかがうことに。

片道30キロ。
さすがに今日は交通がスムース。
いつもこんな感じだったら。
稀有な移民作家と、改めて愛しい作品に直接、関わらせていただくことになり、感無量。


6/6(日)記 「栽培植物と農耕の起源」

ブラジルにて
家族のお祝いで、レストランに向かう。
ひと駅、離れたところに2軒ほど「テマケリヤ」(手巻き寿司専門店)ができていたので、そこを目指す。
2軒ともフェッシャード(閉店)。
距離にして半分ほど引き返したところにある日本食・食べ放題の店に転進。

非日系人経営の、ブラジル的解釈の日本料理だ。
「バナナが入ってる!」
家族が声をあげる。
確かに、巻き寿司のなかにバナナが。
しかもそれをテンプラにしてる・・・

東南アジア原産のイネ(Oryza sativa )とバナナ(Musa spp.)が、極東の文化の流れに乗って、新熱帯区のブラジルで食として結合するとは。
学生時代のバイブルのひとつ、中尾佐助先生の「栽培植物と農耕の起源」(岩波新書)を想う。


6/7(月)記 It's 暗いday.

ブラジルにて
連休があったので、5日ぶりの早朝の運転。
ぐっと暗さが増してきた。
車内の空調も暖房モード、足元にも温風のくるようにする。

日本の梅雨、亜熱帯の夏が懐かしい。
断食にて、身心を引き締める。


6/8(火)記 エルンストな午後

ブラジルにて
午後、パウリスタ地区に用足しに。
その足で、MASP(サンパウロ近代美術館)へ。
このMASP、火曜はタダなのだ。
他の日だと、シネコンの封切り料金ぐらい取られてしまうからバカにならない。

お目当ては、マックス・エルンスト展。
エルンストの、1930年代のコラージュ。
19世紀の作品のコラージュとのこと。

獣人、鳥人、爬虫類、裸女、惨殺死体。
まことに不健全でよろしい。

通常の火曜だと、小中学生の団体などで阿鼻叫喚となるが、さすがにエルンストとなるとお子チャマは見かけない。

特に惹かれたのが、イースター島のモアイ像の頭部を持つ怪人。
モアイ男が、着飾った美女を襲う。
日本のマンガや特撮モノでも、スフィンクス頭はあったが、モアイ男は?

モアイ男に会いに、また火曜に行こうか。


6/9(水)記 みらい世紀ブラジル

ブラジルにて
日本では、ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」の上映を圧力により取りやめる映画館が続出。

岡村も権力の走狗から日本での上映に圧力をかけられるという、輝かしい経歴を持っている。

慎重にしていたが、映画館の7月の岡村特集上映のページがアップされた。
http://www.jackandbetty.net/miraiseikibrazil.html

さっそく小説家の星野智幸さんがツイッターで打ち上げ記念花火を連発してくださる。
ついで伊藤ガウショさん、秋田のじゅんさんらにミクシィ日記で告知していただく。
ありがたい仲間たち。

この特集上映のタイトルは、ジャック&ベティの担当さんとステーキハウス・ガウシャで焼肉を頬張りながら、岡村がでまかせたもの。

みなとみらいヨコハマと、テリー・ギリアムの「未来世紀ブラジル」をひっかけて、という教養あふれるタイトル。

さあ「フマニタス」スペイン語版、目鼻がついたらこの特集上映用のスペシャル予告編を作らないと。
フツーの予告編とはだいぶ違う、それなりにポリシーを貫いたものを作ってみようかと。


6/10(木)記 フマニタスの西と南

ブラジルにて
今回、ブラジルに戻ってから、ひたすら没頭していた「フマニタス」のスペイン語版字幕付け作業。
ようやく、とりあえずバージョンができあがり。
同業者で、他にあまり使っている人を聞かないローランド社の編集機EDIROL、よく働いてくれた。
もう一度、チェックしてからコピーしてアルゼンチンに送って確認して、上映前に修正すべきところは直すつもり。

ナレーションはすでにダビングされた素材しかないので、いじっていないが、その他、映像も音声もいじれるところはいじった。
いわば「赤い大地の仲間たち フマニタス25年の歩み」のディレクターズ・カット版だ。

フマニタス、いよいよ西語で南下する。


6/11(金)記 ぼろがぼろぼろ

ブラジルにて
昨日、いったん出来上がったつもりのフマニタス・スペイン語字幕付け。
通しでみてみると、用語の不統一やこちらのチョンボなどいろいろ出てくる。
アルゼンチンに問い合わせメールをいくつも送る。

ぜんぶ手直ししたい思いと、まあこんなところかな、という思いとの葛藤。

それにしても、テメーのところで間違いを即、手直しできるようになったのだから感無量。
テレビ時代のことはもう前世のこととしても、例えば「郷愁は夢のなかで」の数枚の字幕直しでどれだけ手間と金がかかったことか。

次の作業の段取りをいろいろ考えながら。


6/12(土)記 冬まつりの夜

ブラジルにて
下の子の学校で、フェスタ・ジュニーナ:6月祭り。
在日日本人たちには、なかなかイメージがつかみにくいだろうが、ブラジルではカーニヴァルをしのぐ国民的行事だ。

先回の訪日の際、購入した「やんちゃなマルキーニョ」(ジラルド作・松本乃里子訳 静山社  http://ziraldojapao.pokebras.jp/  )に、このお祭りを「冬まつり」と訳しているのに膝を打った。
絶妙の訳。

あまりによろしいので、こちらの日系人たちが俳句や短歌の季語で「冬まつり」の語を使っているのか気になった。
「ブラジル俳句・季語集」というのを紐解いてみると、フェスタ・ジュニーナに該当するのは「ジュニナ祭」とある。
ゴロはいいが、在日日本人にはわけがわからないだろう。

訳者の松本さんによると、出版社にはブラジル=常夏のイメージがあり、「冬」を受容させるのは簡単ではなかったとのこと。

で、夜、冬まつりの踊りを撮影。
ジャンパー姿で汗をかく。


6/13(日)記 はちみつピンガ

ブラジルにて
昆虫からヒトへの、おそらくもっとも大きな贈り物。

もらいものの蜂蜜がいくつか。
ようやく、もう一瓶が底をついてきた。
これにブラジルを代表する地酒・ピンガを注いで残りの蜂蜜を溶かし込むことに。

岡村流ではピンガのカクテル・カイピリーニャを作る時に、砂糖の代わりに蜂蜜を用いることもあるのだが、色味が褐色になってしまうのが、ちと難点。

ピンガを蜂蜜に特化してしまえば、その色味も味わいというもの。
これが、なかなかよろしい。

いろんな料理に合いそうだ。
飲み過ぎる前に、ピンガがなくなってくれた。


6/14(月)記 予告の予告

ブラジルにて
さあ、ジャック&ベティさんの「岡村まつり」  http://www.jackandbetty.net/miraiseikibrazil.html
用の予告編つくり。

大昔、テレビのディレクター時代はお決まりの業務のひとつだった。
いまやブラジルの自宅で編集作業ができるようになり、「下手に描きたい」から試みに予告編を作り始めている。

テレビ屋時代のような、そしてよくあるような予告編は、やめる。
僕なりのポリシー、とまではいかなくても、こだわりをもとに作ってみよう。
まずは素材の抜き出し作業から。

頭のなかでつないでいたものを実際にモニター上に展開しながら、修正・補足していく。
「ブラジル無縁仏3部作」の予告は、ソコソコのものになりそうだ。
橋本梧郎シリーズと、あもれいらシリーズが、どうなることか。


6/15(火)記 戒厳令の昼

ブラジルにて
さあ、4年に一度のブラジルまつり。

午前中、用足しで街を歩く。
便乗組・ブラジル応援グッズ売りがあちこちに。
この人たち、ふだんは何してるんだろう?

応援用の鳴り物があちこちで吹き鳴らされる。

国歌斉唱、試合開始直後、窓からアヴェニーダ(大通り)を見下ろしてみる。
!!
下りは見事な渋滞、上りはガラガラ。

まもなく、街は静まり返る。
後半戦最初のゴールまでの重苦しい沈黙。
不気味な沈黙のなかで、大半の国民がテレビモニターの前で息をこらしているのが伝わってくる。

いやはや。
これで負けでもしてたら、どうなっていたことやら。


6/16(水)記 まめはだしなしで

ブラジルにて
冷蔵庫に、フェイジョンがあった。
フェイジョンと呼ばれるブラジルの国民食の豆は、日本語では「ささげ豆」と称される。
ブラジルでは塩味で煮て、インディカ種のライスと共に食されるのが一般かと。

我が家では、めったに作らない。

昨年、上映会を開催していただいた東京谷中のお豆料理専門店ビーンズ・キッチンさん。
上映のあとで豆料理のフルコースを提供していただいた。
「豆は、ダシを使わなくてもいいお味が出る」。
そう教わりながら、ダシ抜きで豆を調理していなかった。

通常、フェイジョンを煮る時は、動物性のダシが必要と思い込み、ベーコンやソーセージ等を加えていた。
今回は調味料の他はニンニク、タマネギ、パセリのみでトライ。

なかなか、よろしい。

ちょいと気の利いたレストランのフェイジョアーダ(黒豆と肉類の煮込み:ブラジルのナショナルフラッグプレート)を頼むと、事前にデミタスカップでフェイジョン豆の煮汁が出されることがある。
これが、またいける。

それを思い出し、ちびちび試飲。
これじゃあ動物性を控えても、塩分が心配かも。


6/17(木)記 余刻変

ブラジルにて
横浜上映用の、予告編を仕上げる。
そのあとのデータ送りでヒーコラ。

今回、4編の予告を作った。
「ブラジル無縁仏3部作」「橋本梧郎2部作」「あもれいら①②」、そしてすでにこさえてあった「下手に描きたい」の上書き。

これでトータルにして約20分。
自分で申すのもナニだが、けっこう見てしまう。

上映期間中の、岡村「ひとり取材 ひとり語り」(だったっけ?)のイベントあたりで披露しちゃおうかな、とも。
これの終了後はナカジメ懇親会でもいたしましょうね。


6/18(金)記 102

ブラジルにて
朝は、寒い。
102年前のこの日を想いながらも、自分なりの行ないを心がける。

予告編作りも一息つく。
横浜上映の案内で予告した最新作「明瑞発掘」の素材のチェックを開始。
むむむ、といったところ。
まるで移民の関係ない話、おそらく。

午後、子供のことで出たついでに州立美術館ピナコテーカへ。

最初に、コロンビア先史宝物展。
人類の金属使用は、9000年前の中東に発するとか。
「金属の使用の恩恵で、今日の私たちがある」。
なるほど、鉄の使用がなければ、百二年前の笠戸丸もなかったしな。

フランス・ロマン派画家のアマゾン先住民絵画は、3点のみでちょっと物足りない。
ミュージアムショップで、今まで把握していなかったブラジル人画家の目録を購入。
うれしさと同時に、この作家の特別展を見逃したのが悔やまれる。

移民記録映像作家という肩書きであっても、日本人移民だけに閉鎖していたら、ますます先はないというもの。


6/19(土)記 古本海岸

ブラジルにて
入り口部分がカフェになっている古本屋が気になっていた。
近くで知人と会食をした帰りに、行ってみる。

古本独特のにおいのなかで、エスプレッソコーヒーをすする。

この店、かなり奥の方までぎっしりと書籍が詰まっている。
基本的に背表紙が並んでいるだけなので、日本語と違ってちょっと見ただけでは何の本だか、つかめない。
カイピリーニャを数杯いただいた身にはしんどいので、またそのうち散策・発掘に来よう。

店の名前は「本の海岸」。
ネーミングはよろしいぞ。


6/20(日)記 ピメンタのある家

ブラジルにて
日本人がブラジルに来て、早いうちに覚える言葉の一つが、ピメンタだろう。
ふつう、トウガラシのことをいう。
ピメンタ・ド・レイノだとアマゾン移民を潤したコショウのことだが、これも略してピメンタと呼ばれることが多い。
植物学的にもトウガラシに近いピーマンは、ピメントン:大きなピメンタと呼ばれる。
シシトウは、なんと呼んだっけな?

ヒラメがいいというので、魚屋さんで買う。
ヒラメをおつくりでいただくとなると、モミジオロシとポン酢といきたい。
まずは赤いトウガラシ。

路上市で、1コント(1レアルのこと、約50円)も出せば、手のひらいっぱいぐらいのトウガラシを買えるが、そう使えたものではない。
市の花屋さんで見かける鉢植えのトウガラシを買ってみようかと。

花屋さんで聞くと、トウガラシは鉢から地面に植え替えないとダメ、と言われる。
もう一軒に行くと、鉢植えでも大丈夫だという。
シロウト目にも同じ品種なのだが・・・

赤、クリーム色、ムラサキの班など、見た目にも美しい。
ネットで調べると、観賞用のトウガラシもあるという。

さて、モミジオロシ。
小指の頭より小さいぐらいのを収穫して大根にインサートして、おろす。
これが、辛いこと。
辛さを示す科学的な単位があることを先日、知るが、かなりのレベルかと。

陋団地の一室にこれだけの「凶器」が実っているのがスゴい。
さあ、いつぐらいまで持つかな。
凶器をすべて消費する前に枯れちゃうかも。


6/21(月)記 ゆるすかゆるさないか

ブラジルにて
大切なプロジェクトがこれから続く。

いっぽう、きちんと落とし前のついていない、ゆるすまじきことがいくつかある。
イエス・キリストの大きな教えは「ゆるす」ことかと。
ゆるさないで、い続けることは、けっこう消耗する。
しかし相手に反省が見られないどころか、さらに暴走を続ける場合はどうするか。
相手の反則を看過したこちらにも責任があるというもの。

この土日で、いくつかの問題にきちんと意思表示をしておいた。
自分の気持ちをごまかしたまま、聖なる舞台に上がれない。

今日、これに関連して思わぬうれしい反応が。
この路線を貫こう。


6/22(火)記 ダライ・ラマ寄稿

ブラジルにて
本日付のブラジル発行の日本語新聞に、長野新幹線のなかでインタビューに応じるダライ・ラマ14世の写真あり。
昨晩、ちょうどダライ・ラマの面白い記事をみつけて読んだところ。

ブラジルを代表する日刊紙「O ESTADO DE S.PAULO 」の今年6月4日号に、ダライラマが「INTERNATIONAL HERALD TRIBUNE」に寄稿した記事のポルトガル語訳が掲載された。
タイトルは「複数の宗教とひとつの真実」。
人類の平和と幸福のために、まず各宗教の伝統の理解が必要、と説く。
ダライ・ラマ自身がキリスト教やイスラム教の指導者からいかに直接、教わったかを記している。

いまや日本を代表する一般紙のサイトにも、でかでかと日本の新興宗教の新聞の広告が掲載されている。
しかしこうした宗教のリーダーたちが一般紙に寄稿するようなことはあるのだろうか?

あざといワナを張って悩める人をからめとり、がんじがらめにするような宗教が少なくないため、今日の日本人の宗教離れどころか宗教嫌悪を招いてしまったのではないか。

本物は、違う。


6/23(水)記 「我百年後知己を得む」

ブラジルにて
ここのところブラジル・日本・アルゼンチン間で郵便物でばたばた。
昨日、横浜からチラシの出前が届く。
なろほどなかなかの。

昨日からこのチラシ中でも公言してしまった「明瑞発掘」第一話の編集を開始した。
明治時代に天才幼年書家として知られ、その後、うずもれてしまった伊藤明瑞の映像発掘記。
ブラジルも移民も、おそらくカンケーない。

ラッシュを見た時には激しい自己嫌悪に襲われた。
その後、善処方法を考え、つなぎ始めてみると、けっこう面白く自分でわくわく。
不遇な晩年を過ごしたという明瑞は「我百年後知己を得む」の言葉を残したという。

鈍才移民映像作家は(おそらく)生きているうちに特集上映が実現する見込みで、かたじけない思い。


6/24(木)記 国際浦島

ブラジル→アルゼンチン
今日は早朝から、ネタがいっぱい。

もっとも心を撃たれたことを、ひとつ。
サンパウロの国際空港にて。
GOL/VARIGのラウンジは、JALと違ってすんなりと無線LANの電波が拾えた。
横浜ジャック&ベティさんからのメールで、ようやく「みらい世紀ブラジル」の動画予告をアップできたとの報。
http://www.jackandbetty.net/miraiseikibrazil.html
取り急ぎ「ブラジル無縁仏3部作」予告にアクセスしてみる。

「しきしまの…」
あの西佐市さんの渾身の浦島太郎の語りが、サンパウロ国際空港に響いた。
感無量。


6/25(金)記 ブエノスアイレスの空気を読む

アルゼンチンにて
ブエノスアイレスの植物園、美術館、いずれも面白かった。

さあいよいよスペイン語字幕版上映。
現地側にアドバイスしてプロジェクター二刀流で上映した「みえない祖国の夢」、これがなかなか見やすい。
決して多くはなかった参加者から割れるような拍手をいただく。

「フマニタス」。
これは僕の方で送ってもらった翻訳データを字幕にして、かぶせた。
読みやすさを考えて選んだ字体、モニター上ではよかったのだが、プロジェクターで投影してみるとなんとも着ぶくれで暑苦しい感じ。
こりゃ、作り直さないと。
「フマニタス」はすぐにどうこうとコメントの出る作品ではない、というのが改めてわかった。

ま、するべきことはしたという感じ。
さあ横浜ゴールデンタウンだ。


6/26(土)記 出アルゼンチン記

アルゼンチン→ブラジル
上映後の懇親会のお開きは、午前2時過ぎ。
午前4時45分にはホテルにピックアップに来てもらう。
フライトは7時20分発。
途中2箇所にとまり、サンパウロまで5時間。

帰宅後、時差はないものの、さすがに疲れて横になる。


6/27(日)記 「ぼくたちは生きているのだ」

ブラジルにて
小林茂さんの「ぼくたちは生きているのだ」(岩波ジュニア新書)を読了。
まことに面白かった。
この人にはかなわない、という爽快な思い。

小林さんは、ドキュメンタリー映画監督・カメラマン。
今年のメイシネマ祭で、初めてお会いすることができた。

この本はメイシネマ祭の会場で購入、小林さんに一筆入れていただいた。
せっかくのサイン本だが、あちこちに線を引いてしまった。
感動、共感、パクリ願望から。

たとえば。
…最初に引用させていただこうと思ったのは、わが身も省みて、あまりにナマナマしいので、これは原著にあたっていただこう。
ここでは、これを紹介させていただこう。

ファインダーをのぞく私は、このシーンを見る最初の観客でもある。無上の喜びが広がった。ドキュメンタリー映画の醍醐味とは、こういう「瞬間」ではなかろうかと思った。

最終章で在ブラジルのミュージシャン・青木カナさんの「帰ろうかな」の詩が紹介されているのも感無量。

オカムラ作品ほどではないが、小林茂作品も簡単には観ることが出来ない。
上映の機会に留意されたし。

そしてこの本、ジュニアだけに読ませておくのは大いなる損失というもの。


6/28(月)記 唾棄する人たち

ブラジルにて
午後からブラジルの対チリ戦。
学校も会社も半ドン。

スポーツ音痴の僕あたりが少しばっかりワールドカップの中継を見ての印象。
ラテン系、アフロ系の国の選手がツバを吐くシーンをしばしば見かける。

これらの国の試合の時は、グラウンドの何箇所かに痰ツボを設置するとか。

日常生活では、在日日本人の方がブラジルの庶民よりよっぽど痰ツバを公共の場で吐き散らかしているが。

ブラジルのテレビが、さるヨーロッパの国の監督が鼻クソをほじって口に含むシーンをスタジオ解説付きで放送していた。
ヨーロッパの名士でもこういう人がいるんだ。


6/29(火)記 夏草の預言

ブラジルにて
ワールドカップの効果のひとつは、国名を聞いてもイメージの沸かない国を知ることだろう。
パラグアイに関して「ふつうの」日本人はどれだけ情報を持っていただろう。
バイアグラと間違える人がいる程度かも。
今日の試合で、数十年ぐらいは少なからぬ日本人にパラグアイのあなどりがたさがインプットされたことだろう。

こちとらラテン派としては、うれしい限り。
「楽天」人生から、さらに「苦:く」を抜くとラテン人生になるというもの。

はからずも昨年、まとめた拙作「夏草のミッション」は今回のワールドカップを預言する内容になってしまった感あり。
なりゆきによっては短い作品だし、どこかでついでにお見せしちゃいましょうね。


6/30(水)記 一票の行方

ブラジルにて
東洋人街の会場へ、日本の参院選の投票に行く。
選挙スタッフの膨大な数と投票者の少なさ、音には聞いていた。
実際に体験すると、ドラマチック、感動的ですらあった。
ブラジルが選挙をオンライン化して久しい。
かたや日本国の前時代的な超アナログ手法は、様式美すら感じてしまう。

関係者にかつて聞いた話では、こうして鉛筆書きして二重に封印した投票用紙は、サンパウロ総領事館の領事クラスが「担いで」飛行機で日の本に届けるという。

我らがナショナルフラッグ・日本航空のサンパウロ-成田直行便はこの9月をもって廃止となる。
今回の投票用紙はJAL便で運ばれるだろうが、次の総選挙の時は?
サンパウロは在外投票地では、最大の投票数があるとのこと。
それだけ日本人、有権者が集中するところを、さんざん日本国民の血税を浪費した日本航空は見捨てた。

次の在外日本国民たちの清き一票の結集は、どこの航空会社で運ばれるだろう?
65年前の鬼畜・米英の敵機か、旧植民地の大観航空か。
あるいはヨーロッパまわりで岡村のようにアイスランド噴火で足止めを喰らうか。
いまや中東経由のブラジル-日本ルートも複数あるぞ。
日本国のアナログ大選挙の無事は、アラーの神に祈ろう。


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