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ブラジル日和
     2006年ゲスト・アーカイブ  (最終更新日 : 2007/01/06)
Vol.048 「アマゾンの寒がり屋さん」 宮島右近さん

Vol.048 「アマゾンの寒がり屋さん」 宮島右近さん (2006/09/27) 放送:2006年9月23日(土)生放送はブラジル時間10:06 ~ 12:01(1:55) 日本時間22:06 ~ 00:01(1:55)。ダウンロードはゲストコーナのみの1時間24分03秒です。
出演:宮島 右近(東京都出身・71歳)、松本 浩治(レギュラーゲスト)、大久保純子、高橋 晃一(協力)

 「私は口下手ですから…」。そんなセリフを何度となく口にし、飄々と人生を語る。キリスト教信者で真面目一筋かと思いきや、真顔で冗談を言い、さりげなくおとぼけユーモアで人を笑わす。
 そんな右近さんだが、終戦時には長崎で原爆の入道雲を見て、母親を赤痢で亡くしている。
 銀座でセールスマンをしたり、農業高校の教師を経て、農業を自分でやりたくなってブラジルへ渡ってきた。渡伯を許さなかった親族にエリザベス・サンダース・ホーム(※注)の聖ステパノ農場勤務ということで許可を得て、子供と奥さんを連れてアマゾンへ渡った。
 「農業が好きだ」と語る宮島さんだが10年かけて育てた胡椒の木1万本に病気が入ったこともある。10年間の労働が水の泡だ。その後、荒くれ者が多いとされる金採掘場へ出かけて行き、立ち飲みコップ酒を売ったり、日本へデカセギにも行ったりした。レモンを一軒一軒訪ね歩き売っていて、疲れて道端で眠りこけてしまったら、通行人にホームレスの物乞い人と思われて、お金を貰ったこともある。そんなエピソードも右近流の独特の笑いとユーモアで語ってくれている。
 最後に放送では訊かなかったのだが、右近さんを紹介してくれたアマゾン在住の堤剛太氏(「Vol.011 「堤剛太のアマゾン日和」)からきいたエピソードを1つご紹介しよう。
 右近さんが金採掘場で彼の客で良き友だちだった人が若くして亡くなられたそうだ。葬式の日、右近さんは墓穴に向かって「後からゆっくり行くからなー」と叫んでいたというのをずっこけながら聞いたらしい。
「後からゆっくり行くからなー」。死に際して、そんなセリフがすんなり言える。「するめ」のように噛めば噛むほど味が出る。そんな人の生き様をどうぞ。


(※注)エリザベス・サンダー・ホーム
三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の孫である澤田美喜さんが、戦後混乱期の混血孤児たちの養育施設として、私財を投げだし建設。財閥解体で接収されていた岩崎家の別荘を苦労して買い戻した。さらに1965年には、大人になった孤児たちが差別のない社会で働けることを目指して、アマゾンで孤児たちが働く農場を建設した。

それでは聴いてみましょう。
http://brasil-ya.com/radio/20060923.mp3


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