移民百年祭 Site map 移民史 翻訳
水耕栽培プロジェクト
     プロジェクト紹介&言いたい放題  (最終更新日 : 2003/05/23)
07、農業を始めたい人に道を築きたい

07、農業を始めたい人に道を築きたい (2003/05/23) ― それでご自身が農大ご出身ということで忸怩たるものがあると思うんですけど、日本ではこれから農業を始めようとしても夢がないっていうか、規制、法律でがんじがらめになっている側面がありますよね。

今の状況から見て、そのまま続けばもう(日本の農業は)崩壊しかないと思うんです。というのは、詳しく調べたことないけど、現役の生産者は平均年齢で見て70を超えてる方で、80の方もいる。普通の世界では当然もうリタイアされている歳です。うっかりすればオムツをはめたおばあちゃんが地べたを這って草抜いてんですから。
一般世間で先進国と言われている国の、これが現実です。まったく異常現象です。

― 農大を卒業された若い方って、皆さんどんな職に就かれているんですか?バイオ産業とか、そういった企業、研究所ですか?

まあ、そういうのもあったり、食品加工とか、種会社、農薬、農機具を扱う会社に行くとか。結局、実家が農家で家を継ぐ方もいますけど、マジョリティはどっかに就職する方が多いですね。

― 農業の生産現場に行かないのですね。

学生時代、実習に行ったりはしても、現実、卒業と同時に就職するってことになります。自営農は少ないんじゃないですかね。まして2%まで落ち込んでるってことは、実家が農家だった経歴があっても現実は今やってない。例えば3ちゃん農業で、おじいちゃんがやりながら、継ぐべくセガレがどっかの会社員で、その子供さんが農大にいる場合だってあるわけだから。実際の農作業のチャンスがなかったりとか。
だから今学生さんたちの中だって、なんかやりたい、農業で生産活動したいって人は多いと思うんですね。その中で、今の状況で行くと、そういうチャンスが非常に少ないと。実際は農地も余ってるわけで、やろうと思えばできないことはないだろうけれど、具体的にサッと入れるような道ができてないような気がしますね。それと、先ほど言ったように高齢化しちゃった農村ではこの先続く見込みもないわけで、次世代が継ぎますかって答えに対して、継ぎたいって答えが年々減ってきている現況を見ればですね、結局あとは企業かどっかがやるしか農業はなくなっちゃうわけですね。日本もここまで来れば、一般、特に大会社なんかよく見てると思うんですよ、余っている土地をね。
そういう状況はやっぱりお上も知ってるわけですから農地改正、再編成をもうしなきゃいけない時期に来てて、まだそういう旗色は出してないけれど、当然なり行きとしてはならなきゃいけない状況まで来ていると思いますね。

― 日本の農政は、例えば大規模農業ができなかったり、農業を始めたくても個人が開業できないようなシステムになっていますね?

ひとつは、人別帳で見て百姓でなければ、簡単な言い方をすれば農業ができないんですよ。

― 例えばサラリーマンから転業して営農を始めたいと思ってもできないんですね?

という法律なんですよ。ただ、今、地方自治体も、中央と関係なしに独立して一所懸命なんかしようってしてますから。自治体によってはお金まで出して奨励して、例えば生活が伴うまでの間は援助資金を出しますからこっち来て農業やりませんかとか、そういう運動はしてる所もありますよね。だから法律はあるなりに、日本全体が先が見えないところでみんな一所懸命あがいてるわけで、その中でも自治体が行政として動き出してる所はあるわけですね。

― ただ国レベルとしての動きはまだないわけですね?

そう。ですから土地の再編成はもうしなきゃいけない時期に来てるわけだし。

― そういった意味でも、さっきおっしゃった意識改革が必要なわけですね?

ええ。実際に農業やりたくても本来の法律、つまり農地法からいったら、やりたい人はできないと。その一方では百姓でも農業はやってないと。その裏づけは休耕地がどんどん増えている、経済的に見てもたった2%の産業にまでなってると、こう明らかな現実があるわけです。だからこの矛盾は撤廃しなければ。
ねえ。今、(日本では)先が見えないとかうんぬん言ってますけど、そんなこと言ってる場合じゃないわけですよ。予備軍である学生さんたちだって、まだやりたいって意思持ってる。そういう人たちが活躍できるようにやっぱり尊重しなきゃいけない。また今職を追われて何をしなきゃいけないか(迷っている人も多い)。先ほど言ったように農業が吸収できる一つの産業であって、それをそういうふうに持ってかなかったら、いつまで経ったって失業者減らないだろうしね。時代的に、状況的にももう、しないといけないんですよ。

― その中の、ひとつの起爆剤になりたいという思いですね?

そうですね。だから、こういう方法もありますよ、と。必ずしも農地じゃなくたって、極端な言い方をすればコンクリートの上だろうが、農地として分けられてないカテゴリーの場所でさえもどこでもできるわけ。例えば市が持ってる遊んでる土地を借りてやるとかですね。それで「どけっ」って言われたら私たちは簡単に、いつでも、すぐに撤去できるし。


前のページへ / 上へ / 次のページへ

大森麗裕 :  
〒441-3415 愛知県 田原市 神戸 郷仲 64-2 T&K302 (藤城),
© Copyright 2024 大森麗裕. All rights reserved.