7・3古いアパート (2015/07/03)
何気に、窓を見ると、木枠からガラスが少しズレていた。僕のアパートは22階にあり、この窓のある側は通りに面していので人通りもある。もし、ガラスが落ちたら、そう考えただけでぞっとした。 僕のアパートはブラジルがコーヒーの輸出などで栄華を誇った時代に建てられた建物で、市の文化遺産にも指定されている、築60年を越える古い建物である。通りの突き当りにあるのでアパートの前は、何もさえぎるものがなく、日当たり抜群、セントロ地区が一望できる最高の立地である。非常に気に入っているアパートではあるが、あまりに古いために、配管がボロボロになっている部分が多く、しょっちゅう水漏れが起こるのが難である。さらに、文化遺産に指定されているために、建物の外部は許可なしには改装することができず、ほぼ建てられたまま状態で管理されてきている。そんな訳で窓は未だに建てられたままの木枠である。 さらに、窓をよく見ると、木枠が緩んでいた。金槌で叩いて元に戻し、木材用ボンドを隙間に注入する。ガラスと木枠の継ぎ目の部分も、粘土状のものが何か所か剥がれ落ちていた。シリコンで補強した方がよさそうである。枠のペンキもはげているから塗り直そう。できるだけ早く修復した方がよさそうだ。 外部もボロだが、内部はもっとボロだ。僕が大の掃除苦手人間だから、なかなか綺麗に掃除ができず汚い。さらに、2匹の犬たちや他の動物たちが汚す。アパートを購入したときに、お金がなく、内装を改装できなかったのも失敗だった。だから僕のアパートは、水漏れの苦情で交換した配管以外は、ほぼ建てられた時のままである。 水道の蛇口がしっかり締められず水が垂れるので、部品を変えようとしたら、「そんな古い部品は博物館にでもいかないよ」と言われたこともあった。古いままの蛇口が恰好よかったのでそのまま使い続けたかったが、水が垂れたままという訳にもいかず、泣く泣く新しいものに交換した。 古くて汚いアパートではあるが、気に入っている。ブラジルの建物の寿命は約80年だから、僕が生きている間はたぶんこのアパートに住み続けることはできるだろう。今風の、きれいなアパートにあこがれないこともないが、古いままの使用で少しずつきれいにしていきたいと思っている。
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