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上江洲清さん
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上江洲清さん (2023/03/17)
2002年頃までサンパウロ新聞の通信員をしていた上江洲清(うえず・きよし)さん(73、沖縄県出身)は、現在、滋賀県湖南市に在住している。関西地域の沖縄県人会のメンバーでもあり、湖南市を拠点として自ら体験した「沖縄戦」やブラジル日本移民の思いを「語り部」として各地で伝える活動を行っている。
南洋諸島の一つテニアン島で生まれた上江洲さんは、6歳の時に「沖縄戦」を体験。高校卒業後の1958年に家族と渡伯し、「カッペン移民」としてマット・グロッソ州に入植、過酷な労働を強いられてきた。南北アメリカなどを転々とした後、ブラジルに戻り、サンパウロ新聞通信員、琉球新報のブラジル通信員を務めた経験を持つ。2002年には、沖縄本土復帰30周年記念イベントのコーディネーター役として沖縄県を訪問した。
当初はすぐにブラジルに戻る予定だったが、日系就労者の多い群馬県大泉町に足を運び、「デカセギ」の状況を実体験した。上江洲さんは当時60代半ば。建設会社に面接に行ったが「仕事などない」と言われ、ある会社の寮に住む日系人たちの「金もなくて出るに出れない状況」を直視した。
上江洲さん自身も職を転々と変えざるを得ず、ポルトガル語ができたため千葉県では出稼ぎ者たちの通訳の仕事を任された。しかし、その内容は単なる通訳ではなく、長野県や福島県のスキー場に日系人を派遣するための営業活動だった。当初は日系人を雇うスキー場は少なく、やっと雇ってもらう許可を得た長野県のスキー場では、上江洲さん自ら出稼ぎ者たちを引率し、「零下20度の豪雪の中で、雪かきを行う毎日でした」と振り返る。
その後、シーズンオフにその会社を解雇され、知人のつてを頼って大阪にも出たが、紹介された会社が倒産。生きるために町の清掃車に乗せてもらい、スーパーの期限切れ食品を拾うなど「乞食同然の生活も経験した」(上江洲さん)という。
さらに、和歌山県で炭焼き作業を紹介されたが、職人気質の雇用主から収入もない上に少ない食料で働かされ、栄養失調になった。仕方なく沖縄県にいた姉に連絡し沖縄に帰ったが、体調が回復するのに3カ月もかかった。
改めて知人の紹介で04年1月に今度は滋賀県湖南市へ行くことになった上江洲さんは、オーナーが日本人で、日系就労者が居住するアパートの管理を任された。リーマンショックの影響で居住者の日系人が激減したため、そのアパートは11年11月に取り壊されたが、その間、上江洲さんは06年に伯国に住んでいた夫人(3世)も呼び寄せ、最盛時には50家族いたブラジル人たちの面倒をみた。
湖南市に住んでいる間、戦争の悲惨さと自身のブラジル日本移民としての体験を訴えるため、地域の小中学校や公民館などで講演を行うようになり、「語り部」としてこの7年間で40回にも及ぶ活動を実践している。
10年間にわたって日系就労者の状況を間近に見てきた上江洲さんは「日系就労者といってもひと昔前と違い、非日系人が多いのに驚く。世代が下がるに従い、日系人としての意識やブラジル人としての誇りも低くなっている。それに、仕事に就かなくても失業保険や生活保護が受けられることに甘んじて、ブラシルへ帰りたがらない『デカセギ』が増えているのも事実で、その中には高齢者が多いのも気がかりだ」と、これから先のことを気遣う。
各地での講演活動を続ける上江洲さんは「私は、いわば『よそ者』かもしれないが、関西地域に住む沖縄県人とのつながりを持ち続け、自分がたどってきた人生体験を日本で書き残していきたい」と抱負を語った。(2012年7月号掲載)
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